労働保険事務組合

労働保険とは

「労働保険」とは、労働者を雇用するすべての事業に加入が義務づけられている、労災保険(労働者災害補償保険)雇用保険の総称です。両者は別々の制度ですが、保険料の申告・納付の手続きが共通していることから、まとめて「労働保険」と呼ばれています。

 

  • 労災保険
    労働者が業務中や通勤中にケガ・病気・死亡(労働災害)にあった場合に、治療費や休業中の所得補償、障害が残った場合の給付などを行う制度です。保険料は全額事業主負担で、パート・アルバイトを含め、労働者を1人でも雇用していれば加入が義務となります。
  • 雇用保険
    労働者が失業した場合の生活・再就職の支援(基本手当)のほか、育児休業給付、介護休業給付、教育訓練給付など、労働者の雇用の安定と能力開発を支援する制度です。保険料は事業主と労働者の双方が負担します。

 

労働者を1人でも雇用した場合、事業主は原則としてこの労働保険への加入手続きを行い、毎年、概算・確定保険料の申告と納付(年度更新)を行う義務があります。この一連の事務手続きを事業主に代わって行うのが、次にご説明する「労働保険事務組合」です。

 

 

労働保険事務組合とは

労働保険事務組合とは、中小企業の事業主に代わって、労災保険・雇用保険(労働保険)に関する各種事務手続きを行う厚生労働大臣認可の団体です。当商工会議所も認可を受けた事務組合として、会員事業所の労働保険事務を代行しています。本来、事業主自身が行わなければならない労働保険の成立手続き、概算・確定保険料の申告・納付、各種変更届の提出などを、専門知識を持つ事務組合が一括して代行することで、事業主の事務負担を大きく軽減します。

なお、事務組合への委託開始は、原則として毎年4月1日からとなります。年度の途中からの委託についてはご相談に応じますので、まずは当組合窓口までお問い合わせください。

  

一元適用事業と二元適用事業について

労働保険(労災保険・雇用保険)の適用のしかたには、事業の種類によって「一元適用事業」と「二元適用事業」の2つの区分があります。

一元適用事業

労災保険と雇用保険をまとめて1つの労働保険として取り扱う事業です。保険料の申告・納付も労災保険分と雇用保険分を合算して行います。一般の製造業、商業、サービス業など、多くの事業がこちらに該当します。

二元適用事業

労災保険と雇用保険をそれぞれ別個の労働保険として取り扱う事業です。保険関係の成立手続きや保険料の申告・納付を、労災保険分・雇用保険分で分けて行う必要があり、労働保険番号もそれぞれ別々に付番されます。建設業、農林水産業、港湾運送業など、労働の実態が労災・雇用で異なりやすい業種が対象です。

 

※ 建設業の場合、現場作業に従事する方の労災保険(現場労災)と、事務所内で事務作業のみを行う従業員の労災保険(事務員労災)は、別の労災保険として区分して加入する必要があります。事務員の方がいる事業所様は、現場分・事務分それぞれの手続きが必要になりますので、この機会にあわせてご確認ください。

※ 二元適用事業(特に建設業)では、元請・下請の関係により労災保険と雇用保険で加入形態が異なる場合があり、事務組合への委託が労災保険のみ・雇用保険のみとなる「片保険」委託になりやすいのも、この区分によるものです。

 

委託することによるメリット

 

  1. 事務負担の軽減 
    保険関係成立届や年度更新(概算・確定保険料の申告)など、煩雑な手続きをすべて事務組合が代行します。労働保険料の計算や書類作成に頭を悩ませる必要がなくなり、本業に専念していただけます。
  2. 労働保険料の分割納付 
    通常、概算保険料が40万円未満の場合は延納(分割納付)ができませんが、事務組合に委託することで、金額にかかわらず保険料を3回に分割して納付することが可能になります。資金繰りの負担を平準化できます。
  3. 経営者・役員も労災保険に加入できる(特別加入制度) 
    労災保険は本来、労働者を対象とした制度のため、事業主やその家族従事者、役員などは対象外です。しかし事務組合に委託することで、「特別加入制度」を利用でき、業務中のケガや病気について労働者と同様の補償を受けられるようになります。

特別加入は、たとえば次のような場面で役立ちます。

・    現場作業中に転倒・機械での負傷などの労働災害にあった場合の治療費や休業中の補償

・    業務中の事故が原因で後遺障害が残ってしまった場合の障害(補償)給付

・    通勤途中の事故(自宅と現場・事務所の往復中の交通事故など)による負傷

・    万が一、業務が原因で死亡した場合の遺族(補償)給付・葬祭料

経営者や役員、一人でも現場に出る事業主の方は、労働者と異なり、本来は労災保険の対象外のため、業務中や通勤中の事故があっても自己負担での治療となり、休業中の所得補償もありません。特別加入することで、こうした万一の場合にも労働者と同様の補償を受けられ、安心して業務にあたっていただけるようになります。

特別加入では、実際の収入にかかわらず3,500円から25,000円までの間で「給付基礎日額」を選択でき、この日額に基づいて休業(補償)給付や障害(補償)給付などの保険給付額が計算されます。事業の実態やご希望に応じた日額設定について、当組合がご相談に応じます。

給付基礎日額年間保険料算定基礎額
(日額×365日)
年間保険料
=保険料算定基礎額×保険料率
(例:建設事業(既設建築物設備工事業)の場合
25,000円 9,125,000円 109,500円

24,000円

8,760,000円 105,120円
22,000円 8,030,000円 96,360円
20,000円 7,300,000円 87,600円
18,000円 6,570,000円 78,840円
16,000円 5,840,000円 70,080円
14,000円 5,110,000円 61,320円
12,000円 4,380,000円 52,560円
10,000円 3,650,000円 43,800円
9,000円 3,285,000円 39,420円
8,000円 2,920,000円 35,040円
7,000円 2,555,000円 30,660円
6,000円 2,190,000円 26,280円
5,000円 1,825,000円 21,900円
4,000円 1,460,000円 17,520円
3,500円 1,277,500円 15,324円

※ 実際にご負担いただく特別加入保険料は、上表の「年間保険料算定基礎額」に、事業の種類ごとに定められた保険料率を掛けて算出します(同じ日額でも業種によって金額が異なります)。具体的な保険料額については、当組合までお気軽にお問い合わせください。

※ なお、建設業の一人親方等(労働者を使用しない個人事業主)につきましては、制度上、当組合での特別加入の受託対象外となります。あらかじめご了承ください。(一人親方の特別加入をご希望の場合は、一人親方労災保険組合等、別の団体へお問い合わせいただく必要があります。)

 

事務組合の委託業務の幅

事務組合では、労働保険に関する以下のような幅広い事務を代行しています。

  • 労働保険(労災保険・雇用保険)の保険関係成立手続き
  • 概算保険料・確定保険料の申告および納付手続き(年度更新事務)
  • 保険料率の変更、事業所の名称・所在地変更などの各種変更届の提出
  • 労働者の雇用開始・喪失に伴う雇用保険の手続き(資格取得・喪失届など)
  • 事業主・役員・家族従事者等の労災保険特別加入に関する手続き
  • 労働保険料の分割納付(延納)手続き
  • 労働保険に関する各種相談・問い合わせ対応

これらの手続きをまとめて事務組合に委託することで、事業主様は書類作成や申告期限の管理といった手間から解放され、本業により多くの時間を割いていただけます。

 

事務組合では対応できない業務

事務組合が代行できるのは、労働保険の成立・申告・納付に関する事務手続きが中心です。以下のような、個々の労働者に対する給付請求手続きなどは、事務組合の委託範囲には含まれません。事業主様ご自身(または労働者ご本人)による手続きが必要です。

  • 労災事故が発生した際の保険給付請求手続き(療養補償給付、休業補償給付など)
  • 育児休業給付金・介護休業給付金など、雇用保険の各種給付申請
  • 産前産後休業・育児休業の社会保険料免除の手続き(健康保険・厚生年金関連)
  • 就業規則の作成・変更給与計算など、労務管理全般に関する業務

 

※ ご注意:「社会保険」は対象外です 「労働保険」(労災保険・雇用保険)と「社会保険」(健康保険・厚生年金保険)は、制度上まったく別の保険です。当組合が委託を受けられるのは労働保険(労災保険・雇用保険)のみであり、健康保険・厚生年金保険の加入手続き、保険料の計算・納付、算定基礎届、被扶養者の異動手続きなどは、事務組合の委託範囲には含まれません。社会保険の手続きについては、年金事務所または健康保険組合等へ別途ご相談ください。

 

事務委託手数料について

事務組合への委託には、事務委託手数料がかかります。

  • 手数料率:確定保険料の7%(労災保険・雇用保険の両方を委託する場合)
  • 片保険(労災保険・雇用保険のどちらか一方のみを委託する場合):確定保険料の8%

手数料は「確定保険料」を基に算出するため、委託を開始した初年度は手数料の請求が発生しません。実際の請求は、確定保険料が確定した翌年度から、1年遅れる形で始まります。